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916 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/15(日) 14:44:19.35 ID:jVa0/iTa0
ニセ肉まん職人の朝は早い。なぜなら、気温が上がりすぎる前に段ボール紙の仕込みを行う必要があるからだ。
「春と秋はいいんだけどね・・・。夏は暑すぎて朝でも駄目な時があるし、 冬は寒すぎて、それがよくなかったりしてね・・・。」
仕込みを終えた王さんは我々との話を切り上げ、柄杓を握った。柄杓を「苛性ソーダ」のラベルのある缶にドップリと漬け、
鍋に移しかえる。
速い。まるで料理人のようだ。またたく間に18リットルの苛性ソーダを鍋に満たした。
息をつく間もなく次の鍋に取りかかり、また鍋が苛性ソーダで満たされる。
「どれ、今朝の調子はどうかな。」
王さんは先に煮込んだ鍋を一つ一つをつぶさに見る。ひょいひょい、3つの鍋から段ボール紙を取り出し手で触った。
もう繊維が解けている。これは苛性ソーダの効果なのだ。
「これは駄目。ほら、ちょっとここが固いでしょ。3箇所も出るとは、もう冬が近いね。
今日くらいなら昼には問題なく煮えるけど、これからの季節、もっと冷えてくるとつらいかな・・・。」
この仕事は、時間との勝負。本来食用ではない段ボール紙を、ここまでの食材に加工できる職人は、王さんを含めても
全国に300000人しかいない。そして、こうやって丹念に仕込まれた食材が、話題の北京オリンピックにて各国選手の舌を
楽しませるのだ。
オリンピック開催のまでの後一年、時間の勝負である。
「600万食、達成してみせますよ。」
料理人の動きを見せる時とはうってかわり、とても穏やかな笑顔だ。この笑顔に、中国の食の伝統が
支えられているのだ。

帰り道、おみやげに頂いたニセ肉まんを見ながら新聞記者の山岡がため息を漏らした。
「本当に肉まんの味ですよ。普通に肉まんを作るのだって難しいのに、さらに段ボールで・・・。
それにこの舌ざわり・・・もうなんともいえない繊維感です。」
冬の足音の聞こえる秋の空は暗くなっていたが、王さんのニセ肉まんはそれよりも深い闇を湛えていた
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